熊本県宇城市の松橋耳鼻咽喉科・内科クリニックです。めまい、耳鼻咽喉科、内科に対応し、睡眠時無呼吸症候群、舌下免疫療法も行っています。

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めまい

めまい診療

めまい

図に示しますように2001年の宇野ら(吹田市民病院)の報告によると市中病院において、めまいの原因の約60%は耳が原因となっております。
一方脳梗塞や脳出血などの脳が原因とされるめまいは10%弱となっております。
めまい診療においては耳鼻咽喉科での診察が重要と考えられます。
またすべてのめまい疾患の中で約40%は良性発作性頭位めまいとなっております。
当院においては本症にする理学療法(耳石置換法と呼ばれております)を行っております。
治りにくいめまいの中に良性発作性頭位めまい症が隠れている可能性があります。
当院では赤外線CCDカメラにてより良性発作性頭位めまい症の診断と治療を行っております。

めまい

めまいを主訴に当院を受診していただいた患者さまに対しては、表に示しているような検査を行い、総合的にめまいの原因精査を行います。
具体的には重心動揺計により、からだのバランスの程度を評価します。
純音聴力検査により聴力を調べます。
これによりメニエール病や突発性難聴などの聴力障害を伴うめまい疾患の鑑別を行います。
シェロングテストは血圧を10分間の安静後、起立直後、起立から10分後の3回測定し、最高血圧、脈拍、脈圧(最高血圧と最低血圧の差)を調べることで起立性低血圧などの立ちくらみをきたす疾患の鑑別を行います。
赤外線CCDカメラ下の眼振検査を行い異常な眼球運動がないかを調べます。
眼球運動についてはすべてハードディスクに保存しておりますので、めまいの診断および治療経過を説明させていただくのにとても有用です。
良性発作性頭位めまい症の診断と治療に合った検査です。
さらにPanasonic社のメディテスター(下の写真1枚目)を導入しておりますので、従来のような電極を顔面に貼付する必要なく、短時間で指標追跡検査、視運動眼振検査、視性抑制検査を行うことができます。またメディテスターを使用することによりカロリックテストも短時間に行うことができます。従来、外側半規管機能検査では冷水(4℃)を外耳道内に挿入して内耳を刺激していましたが、患者さまの不快感が強く、当院では空気で外側半規管を刺激するエアーカロリッツク装置(下の写真2枚目)を挿入しております。具体的には下の写真3枚目のようになります。これは15℃の空気で外側半規管を刺激しますので、患者さまの不快感、侵襲が少なく、外側半規管機能の評価、視性抑制検査にて小脳機能の評価が可能となります。このカロリックテスト、正式名称は温度刺激検査ですが、この検査によってのみ前庭神経炎の確定診断が可能です。
これらの検査を行うことにより、内耳性のめまい、小脳や脳幹部障害によるめまい疾患の鑑別が可能となります。

最後に嘔吐や頭痛の強いめまい患者さまや、眼振検査にて脳の障害からくる、めまいが疑われた場合は、頭部CTを行っております。
遠隔画像診断を放射線科専門医(ネットメディカルセンター 九州大学医学部放射線科グループ、放射線科専門医が担当)に行ってもらっていますので、30分以内にインターネットを介して専門的な診断結果を得ることが可能です。
このように当院ではめまい診療ができるシステムを構築しております。
めまいでお悩みの方は受診されてください。

めまい
めまい
めまい

メニエール病の新しい治療法(非侵襲型中耳加圧装置による)

1. メニエール病とは

耳鳴や耳閉感、難聴などの蝸牛症状とともに突然発症するめまいです。昔からよく知られているめまい疾患の代表的なものです。「めまい=メニエール病」と以前は多くおられました。

2. 原因

内耳のリンパ液が増えすぎることと考えられています。このため内耳が水腫(水膨れ)様になり、メニエール病の症状が起こるとされています。 水腫が起こる原因としては、近年の報告ではストレスや疲労が多くを占めるとされています。

3. 診断

メニエール病の診断は他のめまい疾患とは、一部異なるところがあります。まずは赤外線CCDカメラにより定方向性の水平回旋混合性眼振などのメニエール病に特異的な眼振(めまいがおきているときの異常が眼の動き)がないかを調べます。純音聴力検査では低い音の聞こえが悪くなっていないかを調べます。またクリセロールテスト(高浸透圧の点滴を行い、それにより利尿作用がおき、低音部の聴力が改善するかどうかでメニエール病かどうかを鑑別します)を行います。前庭機能を正確に評価するために温度刺激検査(15℃の冷たい空気を外耳道から送り込み、眼振の起こり方を観察し、前庭機能の左右差をの確認を行います)を行う場合もあります。

4. 治療方法

一般的に、めまいが強い時いは眼振、正式名称は前庭眼反射とよばれますが、これを押さえ込む内服薬があり、これを処方します。また内耳の水膨れを改善させるような水薬(少しのみにくいのですが)などを処方しますが、これらの薬物療法では効果がみられず、めまい発作を繰り返す重症の方(メニエール病診療ガイドラインの重症度分類(表1)に基づく、総合的重症度Stage 4)(表2)には、新たな治療法として「非侵襲型中耳加圧法」(図1)が2020年4月から保険適応となっています。これは内耳機能への負担が少なく、有効な治療法で、チューブを通じで鼓膜面に空気を送り込み、中耳腔を加圧することで内耳に溜った余剰なリンパ液を排出させ、めまい症状を抑えるという、治療方法です。1回3分で、1日2回施行することで、自宅にて治療ができます。原則として、1ヶ月に1回の外来受診が必要となります。このときに、使用状況、自宅にてつけていただいた、めまい日記を持参していただき、治療効果を評価します。

5. 治療効果

半年から1年の治療期間で、8割程度の効果がみられています(図2)。メニエール病はストレス病とされ、できるだけ休養をとることも重要です。治療を受けずに、放置したまま、あるいは再発を繰り返すと、聴力が徐々に増悪し、耳鳴や難聴、めまいが残存してしまう可能性があります。Stage 4(進行期)に該当されるような患者さんがおられましたら、中耳加圧装置による治療もおすすめいたします。当院では2020年8月4日現在にて4名の患者さんに非侵襲型中耳加圧装置による治療をおこなっております。

耳の構造

メニエール病総合的重症度

国内治験における平均めまい発作回数の推移

メニエール病重症度分類

片頭痛関連めまい

片頭痛関連めまい

持続性知覚性姿勢誘発めまい(Persistent Postural-Perceptual Dizziness: PPPD)について

慢性のめまいについて

「めまい」といっても様々な種類があり、日本ではメニエール病、や良性発作性頭位めまい症、前庭神経炎、頸性めまい、心因性めまいなど、日本めまい平衡医学会が示している16のめまい疾患があります。そのいずれにも属さない場合には「めまい症」と診断され、症状が改善しないまま慢性化している場合が多くみられます。

診断方法

従来、めまい症は原因も病態もよくわからず、放置せざるをえない場合がありました。しかし、近年に発表された論文(新潟大学耳鼻咽喉科)にて本疾患を鑑別する症状スコアが発表され、これによりPPPDの診断が容易となりました。当院でも同耳鼻咽喉科で発表されたスコアを使用して、PPPDの診断と重症度の評価を行っております。
PPPDの症状:PPPDは2017年に海外にて診断基準が策定された新しいめまい疾患です。
立っている時や歩いている時をはじめ、体を方向転換させた時や、動くものをみたり、複雑な視覚刺激を受けたときなどに症状が増悪することが明らかになっており、新潟スコア(新潟大学耳鼻咽喉科)に従い問診を行うことで診断が容易となってきました。

治療方法

PPPDは、ストレスに対して効能のある脳内物質のセロトニンという物質が不足することによって発症すると考えられています。このセロトニンを脳内に蓄える薬剤を処方します。また頸部運動訓練や歩行訓練、視覚刺激訓練(視覚刺激により強いふらつきが出られる場合は志向しません)など、ふらつきを平衡感覚の乱れを改善させる前庭リハビリテーションも有効性が報告されています。

持続性知覚性姿勢誘発めまい

良性発作性頭位めまい症

どんな病気

良性発作性頭位めまい症はめまい疾患全体の約50%を占めてます。最も頻度の高いめまい疾患であると同時に、実は最も治療しやすいめまい疾患です。
症状としては、例えば寝返りをうった時や、寝ている状態から起き上がった時など、頭を動かしたときに発症するめまいです。「朝起き上がった時や、夜トイレに起き上がった時に天井が回る」などの症状で受診されることが多いです。

原因

図のように三半規管に何らかの要因で、耳石が入り込み、これが頭の向きを変える時に動くことで、内耳を刺激するために発症します。誰かとぶつかったり、ちょっとした衝撃で耳石が動くとこともあります。
年齢や性別、ワイフワークに関係があります。様々なきっかけで誰にでも起こりえます。

診断

めまいが起こるときには「眼振」と呼ばれる眼球運動が起こります。当院では赤外線CCDカメラという特殊な機器を用いて、この眼の動きのパターンを観察し、良性発作性頭位めまい症を含めた、より正確なめまい診断を行っています。

治療

良性発作性頭位めまい症には、主に3つのタイプがあります。耳石が元々存在していた卵形嚢に戻す「耳石置換法」を施行します。
1回の治療時間は20分程度で80-90%の方に有効です(半規管に耳石が入り込んでいるタイプ)。また治療が難しいタイプ(クプラと呼ばれる半規管の根元にある半規管内にリンパ液の対流を認識する加速度センサーに耳石がへばり付くタイプ)に対してもベッド型マッサージ器を用いた理学療法を行うことで良好な結果を得ており、1回の治療で50-60%で治癒が可能です。このことにつきましては当院から論文を(ベッド型マッサージ器®(QZ-220)を用いた水平(外側)半規管型良性発作性頭位めまい症クプラ結石症の治療成績)報告しております。