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- めまい【TEST_20260106】
めまい診療
図に示しますように2001年の宇野ら(吹田市民病院)の報告によると市中病院において、めまいの原因の約60%は耳が原因となっております。
一方脳梗塞や脳出血などの脳が原因とされるめまいは10%弱となっております。
めまい診療においては耳鼻咽喉科での診察が重要と考えられます。
またすべてのめまい疾患の中で約40%は良性発作性頭位めまいとなっております。
当院においては本症にする理学療法(耳石置換法と呼ばれております)を行っております。
治りにくいめまいの中に良性発作性頭位めまい症が隠れている可能性があります。
当院では赤外線CCDカメラにてより良性発作性頭位めまい症の診断と治療を行っております。
めまいを主訴に当院を受診していただいた患者さまに対しては、表に示しているような検査を行い、総合的にめまいの原因精査を行います。
具体的には重心動揺計により、からだのバランスの程度を評価します。
純音聴力検査により聴力を調べます。
これによりメニエール病や突発性難聴などの聴力障害を伴うめまい疾患の鑑別を行います。
シェロングテストは血圧を10分間の安静後、起立直後、起立から10分後の3回測定し、最高血圧、脈拍、脈圧(最高血圧と最低血圧の差)を調べることで起立性低血圧などの立ちくらみをきたす疾患の鑑別を行います。
赤外線CCDカメラ下の眼振検査を行い異常な眼球運動がないかを調べます。
眼球運動についてはすべてハードディスクに保存しておりますので、めまいの診断および治療経過を説明させていただくのにとても有用です。
良性発作性頭位めまい症の診断と治療に合った検査です。
さらにPanasonic社のメディテスター(下の写真1枚目)を導入しておりますので、従来のような電極を顔面に貼付する必要なく、短時間で指標追跡検査、視運動眼振検査、視性抑制検査を行うことができます。またメディテスターを使用することによりカロリックテストも短時間に行うことができます。従来、外側半規管機能検査では冷水(4℃)を外耳道内に挿入して内耳を刺激していましたが、患者さまの不快感が強く、当院では空気で外側半規管を刺激するエアーカロリッツク装置(下の写真2枚目)を挿入しております。具体的には下の写真3枚目のようになります。これは15℃の空気で外側半規管を刺激しますので、患者さまの不快感、侵襲が少なく、外側半規管機能の評価、視性抑制検査にて小脳機能の評価が可能となります。このカロリックテスト、正式名称は温度刺激検査ですが、この検査によってのみ前庭神経炎の確定診断が可能です。
これらの検査を行うことにより、内耳性のめまい、小脳や脳幹部障害によるめまい疾患の鑑別が可能となります。
最後に嘔吐や頭痛の強いめまい患者さまや、眼振検査にて脳の障害からくる、めまいが疑われた場合は、頭部CTを行っております。
遠隔画像診断を放射線科専門医(ネットメディカルセンター 九州大学医学部放射線科グループ、放射線科専門医が担当)に行ってもらっていますので、30分以内にインターネットを介して専門的な診断結果を得ることが可能です。
このように当院ではめまい診療ができるシステムを構築しております。
めまいでお悩みの方は受診されてください。
PiT Eye (Parafeed社製)
← vHIT施行中
2024年6月にPiT Eye (Parafeed社製)を導入しました。めまい検査にVR(バーチャルリアリティー)を用いて、めまいの原因を詳細に精査できるようになりました。精度の高い検査をクリニックで受けることで、「どこに行ってもよく分からないめまい」の診断に迫ります。Pit Eyeを用いてめまいの診断に重要な新しい精密検査「ビデオヘッドインパルス検査(vHIT)」を行っております。2022年度の診療報酬改定により保険適用の検査となりました。vHITは、医師が専用ゴーグルを装着した被検者の頭を左右などに急速に動かした際の眼球の動きを計測・解析することで、めまい発生原因の一つである左右の三半規管の機能を個別に測定、機能評価ができます。vHITにより三半規管の障害、前庭神経の障害を定量化して評価することが可能となり、前庭神経炎の診断、治療効果の経過判定が行えます。さらに中枢性めまいなど他のめまい疾患を鑑別するためにも有効な検査です。前庭神経炎の診断についてはこれまで温度刺激検査を行っておりましたが、外側半規管機能が正常な場合、強い回転性めまいが2-3分持続し、患者さんに負担をかけることが多かったです。そのご負担をへらすことが可能となりました。
メニエール病の新しい治療法(非侵襲型中耳加圧装置による)
1. メニエール病とは
耳鳴や耳閉感、難聴などの蝸牛症状とともに突然発症するめまいです。昔からよく知られているめまい疾患の代表的なものです。「めまい=メニエール病」と以前は多くおられました。
2. 原因
内耳のリンパ液が増えすぎることと考えられています。このため内耳が水腫(水膨れ)様になり、メニエール病の症状が起こるとされています。 水腫が起こる原因としては、近年の報告ではストレスや疲労が多くを占めるとされています。
3. 診断
メニエール病の診断は他のめまい疾患とは、一部異なるところがあります。まずは赤外線CCDカメラにより定方向性の水平回旋混合性眼振などのメニエール病に特異的な眼振(めまいがおきているときの異常が眼の動き)がないかを調べます。純音聴力検査では低い音の聞こえが悪くなっていないかを調べます。またクリセロールテスト(高浸透圧の点滴を行い、それにより利尿作用がおき、低音部の聴力が改善するかどうかでメニエール病かどうかを鑑別します)を行います。前庭機能を正確に評価するために温度刺激検査(15℃の冷たい空気を外耳道から送り込み、眼振の起こり方を観察し、前庭機能の左右差をの確認を行います)を行う場合もあります。
4. 治療方法
一般的に、めまいが強い時いは眼振、正式名称は前庭眼反射とよばれますが、これを押さえ込む内服薬があり、これを処方します。また内耳の水膨れを改善させるような水薬(少しのみにくいのですが)などを処方しますが、これらの薬物療法では効果がみられず、めまい発作を繰り返す重症の方(メニエール病診療ガイドラインの重症度分類(表1)に基づく、総合的重症度Stage 4)(表2)には、新たな治療法として「非侵襲型中耳加圧法」(図1)が2020年4月から保険適応となっています。これは内耳機能への負担が少なく、有効な治療法で、チューブを通じで鼓膜面に空気を送り込み、中耳腔を加圧することで内耳に溜った余剰なリンパ液を排出させ、めまい症状を抑えるという、治療方法です。1回3分で、1日2回施行することで、自宅にて治療ができます。原則として、1ヶ月に1回の外来受診が必要となります。このときに、使用状況、自宅にてつけていただいた、めまい日記を持参していただき、治療効果を評価します。
5. 治療効果
半年から1年の治療期間で、8割程度の効果がみられています(図2)。メニエール病はストレス病とされ、できるだけ休養をとることも重要です。治療を受けずに、放置したまま、あるいは再発を繰り返すと、聴力が徐々に増悪し、耳鳴や難聴、めまいが残存してしまう可能性があります。Stage 4(進行期)に該当されるような患者さんがおられましたら、中耳加圧装置による治療もおすすめいたします。当院では2020年8月4日現在にて4名の患者さんに非侵襲型中耳加圧装置による治療をおこなっております。
片頭痛関連めまい
持続性知覚性姿勢誘発めまいについて
診断と当院の治療方針
論文1(松吉秀武, 山田卓生, 後藤英功: 持続性知覚性姿勢誘発めまいに対する少量セロトニン吸収阻害剤の有効性についての検討 . 耳鼻と臨床 68巻4号: 251-257, 2022)
Ⅰ. 長引くめまいの正体:PPPDとは?
PPPD(持続性知覚性姿勢誘発めまい)は、めまいが治った後も、フワフワ感やグラグラ感が3ヶ月以上、ほぼ毎日持続する病気です。
- 特徴的な症状:
- 絶えずフワフワ、グラグラする
- 歩いたり立ったりすると悪化する
- スーパーの陳列棚やスマホのスクロールなど「視覚刺激」で悪化する
PPPDはなぜ起こるのか?
強いめまいやストレスがきっかけで、脳のバランスを司る部分が**「視覚や体の感覚に過敏に反応しすぎる状態」**になってしまう脳の機能性疾患です。検査で異常がなくても症状が続くのはこのためです。
Ⅱ. PPPD発症のきっかけ
PPPDは他のめまい疾患が引き金となることがほとんどです。当院でPPPDと診断された患者様(138例)の先行疾患の内訳です。
■ 図1:PPPD発症のきっかけとなる先行疾患の内訳 (全138例)
【デザイン指示】 カラフルな円グラフを大きく配置。特に「メニエール病」の領域を強調する。
| 先行疾患名 | 割合 |
|---|---|
| メニエール病 | 27.5% |
| 片頭痛関連めまい | 17.4% |
| 良性発作性頭位めまい症 | 13.0% |
| 起立性調節障害(OD) | 11.6% |
| 慢性脳循環不全 | 10.1% |
| その他・不明 | 20.4% |
Ⅲ. 当院独自の「少量SSRI療法」
PPPDは脳内のセロトニンという物質の調整が関わるため、SSRI(セロトニン再取り込み阻害剤)が有効です。
【デザイン指示】 錠剤のイラスト(セルトラリン12.5mg)を配置。
| 治療の特徴 | **通常の1/4〜1/8程度の「極少量」**で投与することで副作用を軽減。 |
|---|
治療成績(有効率と継続率)
■ 図2:少量SSRI療法の治療成績 (79例)
【デザイン指示】 治療効果を3つの棒グラフで視覚的に比較し、特に有効率を最も高く強調する。
| 項目 | 割合 | 解説 |
|---|---|---|
| 有効率(改善以上) | 75.9% | 4人中3人に効果が確認されています。 |
| 治療継続率 | 79.2% | 副作用が少ないため、治療を続けやすいことも特徴です。 |
| 副作用の発現率 | 23.1% | 主に吐き気などですが、吐き気止め併用で継続可能です。 |
サブタイプ別治療効果
論文2(持続性知覚性姿勢誘発めまいのサブタイプごとの少量選択的セロトニン再取り込み阻害剤の有効性についての検討 . 耳鼻と臨床 69巻1号: 16-25, 2023)
Ⅳ. あなたのめまいはどのタイプ?
PPPDは症状の悪化要因によって3つのサブタイプに分類されます。
【デザイン指示】 3つのタイプを囲み線やアイコン(目、歩行者、複合)で並列に分かりやすく示す。
| タイプ | 特徴 | 割合 |
|---|---|---|
| 視覚刺激優位型 | スマホ、人混み、大きな画面でめまいが悪化 | 約75% |
| 能動運動優位型 | 歩行、起立、頭を動かすなど自発的な運動で悪化 | 約10% |
| 混合型 | 両方の特徴を持つ | 約15% |
⭐ 視覚刺激型は重症でも「最もよく治る」
「視覚刺激優位型」の患者様は、治療開始前の重症度(DHIスコア)が他のタイプより高いため、難治性と考えられてきました。しかし、当院の研究では、少量SSRI療法で最も劇的な改善が見られました。
■ 図3:サブタイプごとの改善度(NPQ値の減少幅)
【デザイン指示】 棒グラフで改善度(減少幅)を比較。視覚刺激優位型の棒を他より目立つ色にして、一番高い位置に表示する。グラフの上に「治療効果トップ!」と記載。
| サブタイプ | 治療前の重症度 | 改善度(減少幅) |
|---|---|---|
| 視覚刺激優位型 | 53.3点(最も重症) | 25.4点(最大改善) |
| 能動運動優位型 | 35.4点(中程度) | 13.3点 |
| 混合型 | 41.5点(重症) | 17.8点 |
重症だと諦めないでください! スマホや人混みが苦手な方こそ、当院の少量SSRI療法で大幅な改善が期待できます。
🏫 起立性調節障害(OD)とPPPD
思春期のお子様に多い「起立性調節障害(OD)」をきっかけにPPPDを発症するケースも多く見られます。この場合も、特に視覚刺激優位型であれば87.5%という高い有効率が確認されています。不登校の一因がPPPDである可能性も視野に入れ、治療を進めます。
治療期間と再発予防
論文3(持続性知覚性姿勢誘発めまい症例に対する少量セロトニン再取り込み阻害剤による治療継続期間についての検討. 耳鼻と臨床 71巻5号: 211-218, 2025)
治療を「継続」することが克服の鍵
PPPD治療で最も大切なのは「症状が良くなっても自己判断で薬を中断しないこと」です。脳を安定した状態にリセットするには時間が必要です。
薬を飲んでいる途中で一時的に悪化したら?
- 治療継続中に症状が一時的に悪化(再増悪)しても、約6割(57.1%)の方が、そのまま薬を平均8週間飲み続けることで再び改善傾向に戻りました。
【重要な推奨事項】
症状に波があっても、まずは**最低でも43週間(約10ヶ月)**は服薬を継続することをお勧めします。
🛡️ 再発を防ぐための治療期間
当院の研究により、**「最初に長く服薬するほど、薬を止めた後の再発までの期間が延びる」**ことが統計学的に証明されました。つまり、長く継続するほど再発しにくい体を作れます。
■ 図4:服薬期間と再発までの期間の相関
| 服薬期間 | 再発までの期間 |
|---|---|
| 長い(例:85週) | 再発までの期間が有意に延長 |
| 短い(例:27週) | 比較的短期間で再発するリスクあり |
最適な治療スケジュールの提案
再発リスクを抑えるために、以下の2つのプランから、患者様の状況に応じて治療期間を提案します。
【治療案①:じっくり継続プラン】
- 目標期間:合計**約85週(約1年半〜2年)**の継続
- メリット:再発リスクを極力低くできる、最も推奨される予防プラン。
【治療案②:お休み&予防プラン】
- 目標期間:6ヶ月内服 → 約1年休薬 → 予防的に10週間再内服
- メリット:長期内服が難しい方に向けた、予防的効果を狙うプラン。
めまい治療の新しい光
これまで「原因不明」とされてきたPPPDは、適切な診断と当院独自の少量SSRI療法によって克服できる病気になりました。
- 1. 高効果:少量SSRI療法は、約76%の患者様に有効です。
- 2. 特効:「視覚刺激優位型」の方にこそ高い効果が期待できます。
- 3. 継続が命: 再発を防ぐため、1年半〜2年の治療継続を目標とします。
良性発作性頭位めまい症
どんな病気
良性発作性頭位めまい症はめまい疾患全体の約50%を占めてます。最も頻度の高いめまい疾患であると同時に、実は最も治療しやすいめまい疾患です。
症状としては、例えば寝返りをうった時や、寝ている状態から起き上がった時など、頭を動かしたときに発症するめまいです。「朝起き上がった時や、夜トイレに起き上がった時に天井が回る」などの症状で受診されることが多いです。
原因
図のように三半規管に何らかの要因で、耳石が入り込み、これが頭の向きを変える時に動くことで、内耳を刺激するために発症します。誰かとぶつかったり、ちょっとした衝撃で耳石が動くとこともあります。
年齢や性別、ワイフワークに関係があります。様々なきっかけで誰にでも起こりえます。
診断
めまいが起こるときには「眼振」と呼ばれる眼球運動が起こります。当院では赤外線CCDカメラという特殊な機器を用いて、この眼の動きのパターンを観察し、良性発作性頭位めまい症を含めた、より正確なめまい診断を行っています。
治療
良性発作性頭位めまい症には、主に3つのタイプがあります。耳石が元々存在していた卵形嚢に戻す「耳石置換法」を施行します。
1回の治療時間は20分程度で80-90%の方に有効です(半規管に耳石が入り込んでいるタイプ)。また治療が難しいタイプ(クプラと呼ばれる半規管の根元にある半規管内にリンパ液の対流を認識する加速度センサーに耳石がへばり付くタイプ)に対してもベッド型マッサージ器を用いた理学療法を行うことで良好な結果を得ており、1回の治療で50-60%で治癒が可能です。このことにつきましては当院から論文を(ベッド型マッサージ器®(QZ-220)を用いた水平(外側)半規管型良性発作性頭位めまい症クプラ結石症の治療成績)報告しております。