熊本県宇城市の松橋耳鼻咽喉科・内科クリニックです。めまい、耳鼻咽喉科、内科に対応し、睡眠時無呼吸症候群、舌下免疫療法も行っています。

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下眼瞼向き眼振を呈した17症例の臨床的検討:松吉 秀武, 後藤 英功, 三輪 徹、栗崎玲一:耳鼻咽喉科・頭頸部外科 88 (7); 513-518; 2016
2008年8月から2015年4月までにめまいを主訴に当院を初診した症例の内、17例に下眼瞼向き眼振を呈した症例を認めた。性別は男性11例、女性6例であった。同眼振は約40%が特発性で原因不明とされているが、前庭小脳の障害により発現することが多く、同部位の障害による上前庭神経核の上行性ニューロンの脱抑制が発症機序とされている。今回当院における同眼振を認めた症例ついての臨床的検討を行った。下眼瞼向き眼振を認め、歩行時のふらつきが強く、視標追跡検査にて失調性パターンを呈した症例については神経内科を紹介し、3例がMRIおよび神経学的所見により、脊髄小脳変性症と診断された。内訳は皮質性小脳萎縮症、脊髄小脳変性症6型(遺伝子診断にてSCA6)、多系統萎縮症がそれぞれ1例であった。他の症例は経過をみているうちに後半規管型良性発作性頭位めまい症(BPPV)に移行した症例が2例、水平(外側)半規管型BPPVに移行した症例が2例であった。聴力像、治療および臨床経過からメニエール病として治療することで治癒した症例を2例認めた。他の8例については原因不明であった。耳鼻咽喉科医による神経耳科学的検査は脊髄小脳変性症を診断するにあたり有効であると判断された。同疾患は近年、薬物療法、リハビリテーションなどによる治療が進歩しており、早期発見が可能な耳鼻咽喉科医の役割が重要と考えられた。