熊本県宇城市の松橋耳鼻咽喉科・内科クリニックです。めまい、耳鼻咽喉科、内科に対応し、睡眠時無呼吸症候群、舌下免疫療法も行っています。

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  • 松吉秀武, 山田卓生, 後藤英功, 伊藤恵子:前庭性片頭痛に対する短期的な片頭痛予防薬の有効性についての臨床的検討. 耳鼻と臨床 69巻5号: 350-356, 2023
松吉秀武, 山田卓生, 後藤英功, 伊藤恵子:前庭性片頭痛に対する短期的な片頭痛予防薬の有効性についての臨床的検討. 耳鼻と臨床 69巻5号: 350-356, 2023

2022年6月から 2023 年 2 月までめまいを主訴に、当院を受診した症例は 1222 例であった。片頭痛の一次スクリーニングによる片頭痛症例は205例であり、全めまい症例の16.8%であった。片頭痛症例のうち前庭性片頭痛 (以下 VM と略 )確実例は 60 例であり、全めまい症例の4.9%であった。初診時から4週間経過を追跡できたVM確実症例 28 例に対してミグシスⓇ単剤投与の有効性を検討する前向き研究を行った。頭痛の評価方法としては、治療開始前2週間の鎮痛剤使用回数と、治療開始後2週目から4週間後までの鎮痛剤使用回数を指標とした。この結果、頭痛の改善率は 28.6%であった。効果が不十分であり、他の予防薬 との併用、長期的な治療が必要であると考えられた。めまい症状の評価方法としては、めまいによる日常生活の障害度のアンケート(以後 DHI スコアと略)を用いた。DHI スコア は初診時が平均 44.2±23.2 点、 4 週目が平均 25.1±23.4 点であった。初診時と4週目の間には有意な改善を認めた(p=0.001)。Jacobson GPらの報告に基づくと、有意な改善率は46.4%であった。このようにVMに対しては、片頭痛予防薬のみでは、頭痛、めまいともに難治性であるため、長期的な加療が必要であると考えた。近年VM に対する前庭リハビリテーションについて,有効性が報告されており、今後取り入れていくべき治療であると考えた。